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ゾーン・オブ・アポジション・リストレーション

ZOA RESTORATION
BY RON HRUSKA, MPA, PT

ZOA は一般的に左側、または両側で失われることがある。その結果、レフト・アンテリア・インテリア・チェイン・パターン(L AICパターン)やポステリア・エクステリア・チェイン・パターン(PECパターン)が引き起こされる。
腹筋、内腹斜筋、そして腹横筋は同側の横隔膜に対してオポジションを与える。吸気における適切なオポジションは対側胸郭上部及び肺尖の拡張に繋がる。片側、及び両側の腹部によるオポジション、及び横隔膜によるアポジションが失われると、ハイパーインフレーションに繋がる。慢性的なハイパーインフレーションを起因とする横隔膜の形状とサイズの変化は ZOA において顕著に見られる。横隔膜の収縮は胸郭に並置する表面積を減少させる 1)
ハイパーインフレーション、奇異呼吸、呼吸補助筋の過活動に起因する症状を改善するには、ZOAを獲得する為の横隔膜のリポジショニングとリトレーニングが必要である。
L  AIC  マニュアル・テクニックは胸郭と横隔膜を理想的な位置へ誘導する事が出来る。この位置では左横隔膜が腱中心を介して効率的に活動でき、更に姿勢制御筋としての活動が収まるため、呼気の状態で休む事が可能である。
吸気の際に肋骨の内旋によってオポジションがある中で、腹壁の拡張が必要でなくなった時に横隔膜の理想的な位置が確立されたと言える。腹部と胸部の協調的な拡張は吸気の際に望ましい。気圧、胸膜の伸縮性、そして縦隔の陰圧などの補助を受けながら、横隔膜呼吸を自然に行うには対側肺尖の柔軟性、胸郭の可動性が必要である。
自動的なZOAが確立された状態では、前屈の際に前縦隔が閉じ、後縦隔が開くことによって手をつま先に近づけることが可能になる。また、自動的な ZOA が獲得できない場合、他動的な ZOA を PRI マニュアル・テクニックによって確立することができる。他動的なZOAは呼気の終わりで最大となる。また、自動的に ZOA が収縮する際の経横隔膜圧は、胸腰部屈曲で最大、胸腰部伸展で最小となる。L AICマニュアル・テクニックの終わりでは、左横隔膜の前部は肋骨の内旋を介して下方及び後方に移動する。

ZOA optimal and suboptimal_0x0.png

ゾーン・オブ・アポジション - ポジションと力学的機能

ZONE OF APPOSITION (ZOA) POSITION & MECHANICAL FUNCTION
BY RON HRUSKA, MPA, PT

横隔膜の動きと呼吸における優位性は横隔膜と胸郭との関係性に左右される 2),3)。よってゾーン・オブ・アポジションは横隔膜の筒状部位と胸壁(縦隔下部)の内側によって構成される。横隔膜の尾側付着部(胸郭の縁付近)、及び肋骨横隔膜角から頭側へ伸び、筋繊維が胸郭から離れて横隔膜のドームを形成する辺りまでの領域を指す 3),4)。横隔膜と胸郭が並置する領域の最も低い位置は肋骨の縁(マージン)にあり、そして最も高い位置は打診の際の濁音と清音の境にある 3)


多くの場合、ZOA の最頂部は横隔膜のドーム最頂部よりも低く、第8胸椎の高さよりも若干下方に位置する。一般的に  ZOA  は横隔膜のドームの高さよりも胸郭の形状と定位に大きく影響を受ける。肋骨が外 旋、及び前方が挙上している場合、横隔膜に対する腹筋によるオポジションのパターンによって、胸腹部の片側、または両側 ZOA が減少する。


ZOA の面積は変動的であるが、胸郭内面積の相当量を占める。最大努力呼気時に内面積の1/2 以上を占め、最大努力吸気時にゼロとなる 3)。また、立位での安静呼吸時には胸郭内面積の1/3から1/4を占める  3)。ZOA   は解剖学的にも重要な役割を担い、腹筋と腹斜筋によって制御され、横隔膜の緊張を左右する。呼吸補助筋の過活動、胸郭の可動性、ハイパーインフレーションなどは横隔膜と呼気終了時の ZOA の状態に影響を受けている  5)


胸郭と腹壁は ZOA を介して常に対となっている 6)。腹筋の安静時の緊張は腹腔内圧を高め、横隔膜が収縮する際にオポジションを与える 7)。吸気時における ZOA と横隔膜のドーム状は、腹筋の安静時の緊張によって、腹腔内の内臓が横隔膜の下面を支持する事によって保たれている。


横隔膜のドームは腱中心に相当し、横隔膜の筒状部は ZOA、すなわち横隔膜と胸郭内部が並置する領域に相当する。ZOA は立位での安静呼吸時における胸郭内面積の30%程度を占める。横隔膜が短縮する吸気時、胸郭に並置する面積は減少し、横隔膜のドームは肋骨付着部に向かって下がる。一般的に安静時の吸気では、横隔膜の大きさと形状は保たれるが、ZOA の高さは1.5cm  程減少する。横隔膜のドームの位置と動きは、呼吸に多大な影響を与えるため、横隔膜の形状変化において最も重要である。また、 この形状の変化は ZOA の減少に起因する。したがって、横隔膜の呼吸筋としての優位性、作用そしてポジションは左腹壁の筋肉による横隔膜へのオポジションに依存すると言える  8),9)

  1. Cassart M, Pettiaux N, Gevenois PA, Paiva M, Estenne M. Effect of chronic hyperinflation on diaphragm length and surface area. Am J Respir Crit Care Med. 1997;156:504-508.

  2. Goldman M, Mead J. Mechanical interaction between the diaphragm and the rib cage. J Appl Physiol. 1973;35(2):197-204. doi: 10.1152/jappl.1973.35.2.197.

  3. Mead J. Functional significance of the area of apposition of diaphragm to rib cage. Am Rev Respir Dis. 1979;119:31-32. doi: 10.1164/arrd.1979.119.2P2.31.

  4. Petroll WM, Knight H, Rochester DF. Effect of lower rib cage expansion and diaphragm shortening on the zone of apposition. J Appl Physiol. 1990;68(2):484-488. doi: 10.1152/jappl.1990.68.2.484.

  5. Hruska RJ. Influences of dysfunctional respiratory mechanics on orofacial pain. Dent Clin North Am. 1997;41(2):211-227.

  6. Boynton BR, Barnas GM, Dadmun JT, Fredberg JJ. Mechanical coupling of the rib cage, abdomen, and diaphragm through their area of apposition. J Appl Physiol. 1991;70(3):1235-1244. doi: 10.1152/jappl.1991.70.3.1235.

  7. Reid WD, Dechman G. Considerations when testing and training the respiratory muscles. Phys Ther. 1995;75(11):971-982. doi: 10.1093/ptj/75.11.971.

  8. De Troyer A, Estenne M. Functional anatomy of the respiratory muscles. Clin Chest Med. 1988;9(2):175-193.

  9. Hruska RJ. Management of pelvic-thoracic influences on temporomandibular dysfunction. Ortho Phys Ther Clin North Am. 2002;11(2):263-284.

ZOA 参考文献

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