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レフト・アンテリア・インテリア・チェイン・パターン

THE LEFT AIC & RIGHT BC POLYARTICULAR PATTERN
BY RON HRUSKA, MPA, PT

膝関節、股関節、鼠径部、仙腸関節、腰、肩、肩甲骨の間、頚、顔、顎関節といった部位に症状を訴える人は股関節の片側及び両側の内転、伸展、又は屈曲に制限が見受けられる。このような人達は体幹の回旋に制限があり、吸気時に肺尖の拡張が出来ない。さらに頚椎の回旋、下顎の運動パターン、肩関節の屈曲、水平外転、そして内旋が制限されている。片方の肩が逆側より低い、腰が片方にシフトしている、など左右非対称の姿勢が顕著に見受けられるだろう。

 

これらの症状と関係する典型的パターンにレフト・アンテリア・インテリア・チェイン、ライト・ブラキアル・チェイン、そしてポステリア・エクステリア・チェインがある。左寛骨が前傾、そして前方回旋する事により、腰部が右方向へ回旋する。この脊柱への右回旋の影響が頚椎頭蓋下顎部の筋肉、体幹、そして上肢など、これら部位の1つ以上に代償運動を起こす。中でも一番影響を受けるのが肋骨のアライメントと位置、すなわち呼吸 に多大な影響が出る。また喘息に代表される呼吸器障害、日常動作、そして職業に関連する作業や姿勢が骨盤のバランスに影響し、左の骨盤の前傾と前方回旋といった代償パターンに繋がる可能性も大いに考えられる。

 

これらパターンに起因するその他の他覚的所見として、左肋骨前下方部の突出、右肩の下制、押し下がり膨らみに欠ける右胸、右肋骨後部の突出、右腰部の筋肉の発達、脊柱の彎曲、そして頭と顔の左右非対称があげられる。

 

一般的にこれら特定の神経・筋バランスの崩れとそのパターンは成長期や思春期に発生し進行していく。腰椎前部に付着する横隔膜は、右側が左側に比べ強いため、 脊柱は右方向へシフトし回旋する傾向がある。肝臓は右横隔膜の構造的支えとなり、右横隔膜を呼吸筋として望ましい位置に保つことができる。一方、左横隔膜の下に肝臓は無く、更に右側に比べ小さい筋肉の為、 非収縮時にドーム状で休むべき筋肉が収縮時の平らな形状にとどまり、オーバーアクティブになる。これにより、左横隔膜は吸気の際に肋骨をあげて開くアドバンテージを失ってしまい、左腹壁を抑制させてしまう傾向がある。結果、左腹壁の筋肉群が弱くなってしまう。

 

このパターンは右手右足中心の生活や、日常的な重心の右側偏位、そして骨盤隔膜の上下におきる過剰な代償パターンを補完する。例えば空気の流れ。前述したように、肋骨回旋の影響により一般的に空気は右胸に比べ左胸の方がスムーズに空気が入る。胸郭内部において、左側には心臓及び心膜という構造的支えがあるが、右側には無い。このパターンに陥っている場合、そのダイナミックな呼吸の構造的現象から、体幹上部の左方向への回旋は頚部の活動を抑える。一方、体幹上部の右方向への回旋は左胸壁への空気の流れを制限する。左右非対称な基礎構造の上で起きた運動に起因する軟部組織のねじれは、慢性的な筋肉のオーバーユース、炎症、そして痛みなど、側湾症や繊維筋痛症と診断された人に見られる症状を引き起こす。

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